後藤健生の「蹴球放浪記」第126回「ドサ回りで訪れたザプロージェとは、あの街!」の巻(1)ヨーロッパの代表チームに見向きもされなかった時代の画像
ザポロージャ選抜戦の記録 後藤健生編『日本サッカー史 資料編』(双葉社)から

 蹴球放浪家・後藤健生が旅に出始める前から、サッカーは世界をつないでいた。日本代表も海を渡っていたが、現在では想像できないほどの扱いを受けていた。まさに「隔世の感」を禁じ得ない時代を振り返る。

■日本代表がクラブと試合をしていた時代

 今回は、僕が「放浪」を始めるより前の大変に古~い記憶の話になります。

 僕がサッカーの試合を初めて見たのは1964年の東京オリンピックでのこと。国立競技場で行われたハンガリー対モロッコの試合でした。その後、サッカーに興味を持つようになったので、その頃の話。もう、50年以上昔の話です。

 東京オリンピックでアルゼンチン(オリンピック代表=若手の選抜チーム)に勝って準々決勝に進出した日本代表チーム(当時は「全日本」と呼んでいました)は、メキシコ・オリンピックを目指して、毎年夏になるとヨーロッパに遠征していました。

 今は、日本代表は遠征すると各国の代表チームと試合をします。たとえば、9月にはドイツのデュッセルドルフでアメリカ、エクアドルと対戦することになっています。2002年の日韓ワールドカップ直前のヨーロッパ遠征ではフィリップ・トルシエ監督率いる日本代表がサンチャゴ・ベルナベウでレアル・マドリードと対戦していますが、クラブチームとの試合はそれが最後となっています。

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