新型コロナウイルスは、世界を大きく変えた。Jリーグも例外ではないが、力強く「コロナ前」の世界を取り戻そうとしている。ルヴァンカップの浦和レッズと名古屋グランパスの対戦は、サッカージャーナリスト・大住良之にあらためてJリーグのあるべき姿を確信させた。
■なぜ日本だけ声出しが禁止なのか
6月から始まった「声出し応援の段階的応援」は、Jリーグにとってスタジアムを「コロナ前」に戻す重要なステップだった。「サポーターの歌声がなければJリーグではない」ことは、誰にもわかっていたからだ。コロナ禍が始まって2年半。最初は試合自体が4か月間も中止になり、無観客(リモートマッチ)で再開され、やがて段階的入場可能数が引き上げられ、昨年末には入場制限は感染防止の観点から撤廃された。しかし「飛沫防止」の観点から「声出し」はずっと禁止のままだった。
欧州の多くの国では、入場制限も声出し禁止(禁止しても止めきれないという考え方からか、最初から人がはいれば声が出るという考え方だったようだ)も解除され、普通の状態に戻っていることは、テレビ中継などを見れば誰にもわかる。なぜ日本だけ声出しが禁止されているのか、サポーターに不満が募るのは当然だった。