「コロナ前」が遠くなっても、まったく変わらないサポーターの歌声【サポーターの歌声がなければJリーグではない】(1)の画像
サポーターあってこそのJリーグ 撮影:中地拓也

 新型コロナウイルスは、世界を大きく変えた。Jリーグも例外ではないが、力強く「コロナ前」の世界を取り戻そうとしている。ルヴァンカップ浦和レッズ名古屋グランパスの対戦は、サッカージャーナリスト・大住良之にあらためてJリーグのあるべき姿を確信させた。

■体感したサポーターのパワー

 あらためてサポーターの底知れない力を感じた。8月10日に埼玉スタジアムで行われたルヴァンカップ準々決勝第2戦の浦和レッズ対名古屋グランパス。平日の夜の試合で、入場者は2万3435人。しかし浦和のサポーターの圧倒的な声援で、私は久びさに「Jリーグが戻ってきた」という印象を受けた。

 Jリーグが6月からすすめてきた「公式試合における声出し応援の段階的導入」。この試合までに20を超す試合で実施されてきたが、残念ながら私はこれまで現場で取材することができなかった。DAZNではチェックすることができたが、「サポーターが歌っているな」とわかる程度で、あのパワーを自分自身の体で感じることはできなかったのだ。それがこの日、導入も第2期の終盤になってようやく実現した。

 埼玉スタジアムは両ゴール裏が「サポータースタンド」となっている。北側はすべてホームクラブのサポーター。南側は西寄りにビジタークラブのサポーターがはいる席が設定されており、緩衝地帯をはさんでホームのサポーターもはいる形だ。

 両ゴール裏を「声出し応援エリア」と設定し、ホーム側は南北のスタンドに合わせて9000人、ビジターは1000人のサポーターを入れる計画だった。浦和のサポーターはシーズンチケットの保有者が大半を占めるが、一般販売も行われ、それは発売日に完売した。

  1. 1
  2. 2
  3. 3