■ガンバの清水対策

 この日のガンバの攻撃の軸は、3バックの左右が高い位置を取るようにして数的優位を作り出し、2シャドーが自由に動き回ることで決定機を増やす、というものだった。最前線のチアゴ・サンタナからセンターバックまで、清水がチーム全体で積極的にボールを刈りに来る中央での戦いではなく、サイドを軸にチャンスを数多く作り出すことで得点の可能性を高める、というこの戦い方は狙い通りに機能した。

 左サイドでは藤春が左ウイングバックの黒川圭介と2シャドーの左の石毛秀樹を押し上げ、そこにボランチのダワンも加わるパス交換が行われクロスまで進んだ。右サイドでは小野瀬康介奥野耕平がペースを作り、飯野亮太郎の動き出しが清水を悩ませた。

 清水は効果的にプレスをかけることができなくなり、ゴール前での集中力を保つことで耐える、という状態になった。

3バックの左としてプレーした藤春廣輝 ガンバ大阪vs清水エスパルス(20220814)撮影/原壮史

 ガンバが準備した清水対策は、攻撃時だけではなかった。

 清水ボールになった時には、鈴木義宜と立田の両センターバックから縦にボールを出させないことと、ボランチの松岡大起に前を向かせないことが徹底された。それによってボールを持つことが多くなるサイドバックの山原怜音と片山には、戻すかロングボールを蹴り出すかの2択を迫った。清水は通常の攻撃の組み立て方の序盤をことごとく潰された状態になり、ガンバペースが続くことになった。

PHOTO GALLERY ガンバ大阪vs清水エスパルス(20220814)
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