■思い起こされる日本代表の「大逆転」
ジェジエウのゴールで勝点差を詰めて、「逆転優勝」を諦めていないことを示した川崎。消化試合の2試合分の勝点を考えれば、実質的な差はわずかに2ポイント。
もちろん、その2試合を消化する分、日程はタイトになるが、一方、横浜の方は8月下旬に行われるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のノックアウトステージがあり、最大で3試合を戦うことになる。優勝争いはこの両者のマッチレースとなりそうだ。
25年前のフランス・ワールドカップに向けたアジア最終予選で苦戦を続けていた日本代表。
カザフスタンとのアウェーゲームが引き分けに終わると、日本サッカー協会は加茂周監督を解任。コーチだった岡田武史を暫定的な後任として1週間後のウズベキスタン戦に臨んだのだが、30分にウズベキスタンに先制され、その後反撃を試みるがゴールに結びつけることができずに敗色濃厚だった。だが、試合終了間近にロングボールを追った呂比須ワグナーが頭で落とすと、そのボールが誰にも当たることなく相手ゴールに転がり込んで引き分けとなった。
その瞬間に岡田監督は「ひょっとしたら、ひょっとする」と逆転での予選突破の可能性を見出して、そのまま監督に留任しようと決断したという。
ジェジエウのヘディングシュートが決まったことで川崎が勝利したが、その後の記者会見で、鬼木監督は今後対戦する相手チームに対して「(川崎は)勝負強いという印象を与えるだけでも大きい」と語った。鬼木監督自身も「ひょっとすると……」と感じたのではないだろうか。