後半アディショナルタイム、プレーが途切れるとその場にしゃがみこむほど消耗していた鈴木優磨は、限界を超えて力を振り絞り、ボールを引き出そうとサイドに開いて走り出した。しかし、ボールは途中でマリノスに奪われてしまい届かず。鈴木はガックリと肩を落とし、重たい足取りで自陣へと引き返していった。どうしようもないほどの強さの差の前に、鈴木をもってしても試合中にぐったりきていた。
終了のホイッスルを聞くと、彼はその場で崩れ落ち、ピッチに寝転んで顔を覆った。他の鹿島の選手たちも、それぞれが下を向き、自身の気持ちに押し潰されそうになっていた。
後半戦の行方を占う天王山となった試合は、マリノスが圧倒的な差を見せつけた。
日本代表に7人もの選手が選ばれたマリノスだが、その中でこの試合でスタメンに名を連ねたのは2人(岩田智輝、西村拓真)のみ。控えに2人(水沼宏太、藤田譲瑠チマ)、3人が不在(宮市亮、畠中槙之輔、小池龍太)となったが、チームとしての完成度・強さが揺らぐことはなかった。最終ラインがエドゥアルドを中心として対人守備の強さを見せると、そこからいつものようにボールを動かし、「どんどん湧き出てくるような攻撃を90分通してやられた」(土居聖真)という展開で試合が進んだ。