■藤田譲瑠チマは可能性を見せた
森保一監督が率いるサッカー日本代表で、序列がはっきりとしていない数少ないポジションはアンカーだ。
遠藤航を欠くシチュエーションがほぼなかったため、彼のバックアップが固まっていない。守田か田中をインサイドハーフから下げるのが現実的な対処になるが、その場合はインサイドハーフを誰にするのか。6月シリーズでは柴崎岳、鎌田大地、久保建英らがテストされたが、一発解答は得られなかった。
そこで、今回のE-1選手権である。
日本は4-3-3ではなく4-2-3-1でプレーしたが、藤田譲瑠チマが可能性を感じさせた。パリ五輪世代の主力はボールへのアプローチが力強く、韓国戦では相馬勇紀の先制ヘッドをアシストした。ゴールエリア内への柔らかなピンポイントパスは、見えていても通しにくいものだ。
後半には自ら持ち込んでシュートも放った。ボールの経由地点としてテンポ良くさばいていくが、相手ゴール前へダイナミックに飛び出すこともできる。海外組を含めたチームで、試してみたい選手である。
韓国戦で1得点1アシストを記録した相馬も、確かなインパクトを記した。大会3得点は町野修斗と並ぶ得点王であり、MVPにも選出されている。
ボールを持ったら果敢に仕掛けていく姿勢は、頼もしさを感じさせた。ウイングが「突破」を最初の選択肢にしなければ、相手に脅威を与えることはできない。
彼が直面する難しさはポジションだ。4-3-3では左ウイングの候補になるが、南野拓実と三笘が先行している。攻撃のオプションは多いほうがいいものの、こればかりは森保監督の判断だ。右ウイングにも伊東純也を筆頭に堂安律や久保が控えているおり、アタッカー陣は総合的に判断をしていく必要がある。その時々の好不調も選考に影響してくるだけに、相馬がアピールが必要な立場であることに変わりはない。