台湾も、たしかに40位と実力は劣っているが、ツートップの頼麗琴と蘇育萱はともにしっかりとボールを収めることができる選手であり、またコンビネーションも良く、2人だけで攻撃の形を作ることができる。実際、日本戦ではこの2人の攻撃からCKを奪って、それが先制ゴールにつながった。

 いずれにしても、実力差がありすぎる男子の大会よりも、力の拮抗した女子の試合の方がより興味深かったような気がする。

■E-1に影響するWEリーグの問題点

 日本が今回の大会で苦戦している最大の原因は経験の少ない選手が多数入っていることだが、もう一つの苦戦の原因は、選手たちが所属するWEリーグのクラブが現在シーズンオフ中だったことだ。昨年、日本の女子サッカー初のプロ・リーグとして始まったWEリーグは「秋春制」を採用しているので、現在はシーズン開幕前なのだ(2022/23シーズンは8月20日からのWEリーグカップで開幕する)。

 これに対して、たとえば韓国の女子リーグ(WKリーグ)は今がシーズンの真っ盛り。シーズンオフ中の日本選手が、韓国戦で1対1の競り合いで劣勢に陥ったのはある意味で必然でもあった。

 ヨーロッパ各国で女子サッカーが急発展を遂げる中で、女子サッカーのプロ化は避けられない道だ。

 だが、WEリーグは運営面での準備不足も露呈され、また観客動員がまったく伸びないなど問題点は多い。そして、11チームの参加で行われるリーグ戦はホーム&アウェーで年間20試合。カップ戦(皇后杯とWEリーグカップ)を加えても試合数は男子のトップチームに比べて明らかに少なすぎる。また、夏のシーズンオフに加えて、長いウィンターブレークもあるので「オフ」期間が長く、ファンにとっても分かりづらくなってしまう。

 とりあえず、選手個々の成長とチーム力アップのために試合数を増やしてオフ期間を短くする必要があるのではないだろうか。3回戦総当たりのリーグ戦にするとか、ポストシーズンに上位リーグ、下位リーグを行って優勝を決めるとか、方法はいくつも考えられる。

  1. 1
  2. 2
  3. 3