練習再開は7月17日、試合の3日前だった。故障者に加え体調が万全でない選手も多く、メンバー編成には苦労の跡がうかがえた。控えにはFWはいなかった。だが猛烈な蒸し暑さのなか、東京Vの選手たちは果敢に「いつものサッカー」をやり続けた。「前線からのプレス」は、いまでは多くのチームが採用している戦術だが、東京Vのプレスは尋常ではない。全員が、文字どおり100パーセントのパワーでプレスをかけ続けるのだ。

■尋常ではない「本気プレス」

 「前線からのプレス」といっても、もちろん、90分間かけ続けられるわけではない。当然「波」があり、連動してプレスをかけることができる時間は、通常1試合を通じてせいぜい20分から30分間間程度ではないだろうか。だがそこまでもできるチームもそう多くはない。多くは、試合開始とともにハイプレッシャーをかけるが、10分か15分程度で落ち着き、あとはそのままの流れになってしまう。しかし東京Vは「本気プレス」をいつまでも続けるのだ。

 目を引いたのは、選手たちの走り方だ。自分が担当する選手にパスが出ようとすると、一歩目からトップスピードに乗る。そしてどの選手も例外なく、まるで100メートル競走のように両腕を力強く振り、猛烈な勢いで相手選手に迫る。この腕の振り方は、他のチームにはない。このような走り方をする選手はどのチームにも1人はいるが、その一方で、「義務感」丸出しでジョギングのように走って相手にアプローチする選手も少なくない。

 さらに、東京Vの選手たちは例外なく「二度追い、三度追い」をこなす。相手センターバックに詰める。センターバックはGKにバックパスする。すると東京Vの選手は、一瞬の迷いもなくGKに詰める。危機感をもったGKがワンタッチで逆サイドの味方にパスすると、東京Vの選手はさらにスピードを上げるようにして追うのである。

(2)へ続く
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