パリ・サンジェルマンが来日中だ。Jリーグでもほとんど行われない地上波で放送され、国立競技場のスタンドは観客であふれた。そのきらびやかな試合ではなく、サッカージャーナリスト・大住良之は天皇杯取材へ向かった。その理由には、耳を傾けるべき重みがある。
■国立ではなく味スタへ
7月20日(水)は、味の素スタジアムで行われた天皇杯のラウンド16、東京ヴェルディ対ジュビロ磐田を取材した。
「えっ! 国立競技場じゃなかったの?」
多くの友人にそう言われた。「国立競技場」とは、もちろん、来日したパリ・サンジェルマン(PSG)の初戦、川崎フロンターレとの試合である。リオネル・メッシ、キリアン・ムバッペ、そしてネイマールという現代サッカーのトップスターを攻撃陣に並べたPSGは、いまや欧州を代表する「ビッグクラブ」のひとつであり、日本中のサッカーファンにとって彼らを生で見るのは「夢」のようであるに違いない。
国立競技場には、オリンピックのために改築されてからサッカーでは最多となる6万4922人のファンがつめかけた。入場料は、「VIPルーム(最多14人)」の100万円を別にしても、「VVIPシートが」15万円、「VIPシート」が10万円。一般で最も安い「カテゴリー6」でも7000円と、目が飛び出るほどだが、ほぼ完売したのは、日本のファンの思いの強さを物語っている。
さらに信じ難いことだが、VIPルームでの試合観戦に選手とのパーティー参加の特典がついた3000万円のチケットも販売されたという。買った人がいたのかどうかは知らないが…。