■「普段ポジションがどこであれ、前に走れる選手を置きたかった」
チームメイトの喜びの爆発のほうが奈良輪より派手だった。ベンチ前でゆっくりとペットボトルの水を口にした奈良輪は残りの数分間に集中した。
「これから先、長いサッカー人生があるとは思っていない。若い選手が多いクラブで、なかなか上に行けないクラブに対して、自分は言葉ではないプレーで表現しているつもり。それを少しでも感じてもらって、クラブがいい方向に行ければ」
東京ヴェルディの城福浩監督は起用に触れた。
「普段ポジションがどこであれ、前に走れる選手を置きたかった。できるだけ相手ゴールに近いところでボールを奪うサッカーをしたいということはブレたくない。ディフェンス(奈良輪)とアンカー(西谷亮)の選手を2トップにした」
東京ヴェルディは7月11日から16日までの6日間、新型コロナウィルス感染者が増えて活動停止を強いられ、この天皇杯を含めた2試合が順延になっていた。
そんな中、スリリングな試合に勝利した東京ヴェルディは2004年以来のベスト8進出を決めた。あの時は東京ヴェルディが天皇杯を制している。決勝戦の相手は磐田だった。