■19歳と17歳コンビが見せた笑顔

 実は2人は、まだJリーグの舞台に立ったことがない。今年2月にまだ高校2年生ながら下部組織から異例のトップチームと契約を果たした高井は、今季、リーグ戦でベンチ入りした経験はあるが、ピッチに立つことは叶わなかった。まだ17歳。ACLでは出場を果たしており、王者のリーグ戦でベンチ入りしたことは誇るべきことだろう。しかしその試合後、観客が帰った等々力のピッチで高井は一人、居残りランをしていた。試合に出られなかった悔しさのほうが勝ったのだ。

 永長は、今季、興国高校からプロ入りしたばかりのルーキーだ。ボールが足に吸い付くドリブルが武器で、今季、天皇杯ではすでに出場を果たした。しかし、その時の相手は大学生。鬼木監督としては、まだプロ相手に出す時期ではないという判断なのだろう。

 そんな2人を、残り4分とはいえ鬼木監督が出場させたのは、数年後の川崎のことを考えてのことだろう。彼らが得た経験が、チームにきっと還元されると信じていたからこその采配のはずだ。指揮官は“個人戦術”という言葉をよく口にする。一人ひとりの成長を願う気持ちが、この交代に表れているようだった。

 サポーターも2人の出場に興奮。SNSでは、「未来のフロンターレを想像してワクワクしています テレビの前でいろいろ思い描いていました」「今のU18、かつてないほどポテンシャルが高い」といったコメントが見られた。

 2人の笑顔は、試合後、ピッチを一周する間も続いていた。興奮を隠しきれない様子で、国立競技場を歩いた。鬼木監督のこの“期待采配”が、そして、2人がピッチで触れた世界基準が、川崎をさらに強くする。

  1. 1
  2. 2
  3. 3