■変化を象徴した永井の移籍
この数年、「堅守速攻」型を目指すチーム作りの中で集められ、そして、「堅守速攻」型のサッカーで成功体験を持つ選手たち。その選手たちを説得して、新しいポゼッション志向のサッカーをやらせようというのだから、アルベル監督が苦労するのは当然だ。
そういう意味では、最近、永井が名古屋グランパスに移籍したことは象徴的な意味を持っている。永井こそ東京の「堅守速攻」型の象徴的存在だったからだ。
浦和のように多くの選手を取り続けることが正しいとは思えない。せっかく、同じメンバーで試合を重ねることでコンビネーションが生まれかけたと思ったら、また新しい選手がやってきて一からチーム作りを繰り返すような状況では、なかなかチームは完成に向かっていけない(しかも、「オランダなど北部ヨーロッパ諸国から導入される選手たちが、ロドリゲス監督が本当に欲しい選手なのか?」という疑問もある)。
そんな、新しい選手をとっかえひっかえしているロドリゲス監督よりは、現有戦力に対して新しいコンセプトを伝えようと努力し続けているアルベル監督の方が潔いと思う。そして、選手たちに対する説得に成功すれば素晴らしい指導者であることを証明できる。
だが、それでは時間がかかり過ぎるのも事実。プロ・クラブの指導者としては、やはり結果にもコミットしてもらいたいものだ。