同じく改革を進める浦和レッズとの際立つコントラスト【FC東京とアルベル監督が挑む「壁」】(2)の画像
ルーキー松木が出場しているもののFC東京の陣容は大きく変わっていない 撮影/原壮史

 FC東京は今シーズン、新たな挑戦を試みている。アルベル・プッチ監督の下、これまでと大きく異なるスタイルのサッカーに取り組んでいるのだ。挑戦の度合いに応じて大きくなる「壁」へと挑むFC東京を、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■新監督の下で変わらぬ陣容

 何よりも問題なのは、FC東京の選手たちが何シーズンにもわたって「堅守速攻」型で戦い、しかも、そのやり方で成功を収めてきたことだ(リーグ優勝はなかったが、2019年のリーグ戦での2位という順位や2020年のYBCルヴァンカップ優勝を選手たちは「成功」と受け止めていることだろう)。

 彼らの意識を変えて新しいやり方を受け入れさせることはかなり難しい作業になる。少なくとも、1年はかかるだろう。だから、アルベル監督は「今シーズンは批判しないでほしい」と口癖のように言うのである。

 意識の変化なしに、監督の指示通りに「ポゼッション・サッカー」を試みても、結局、第22節のジュビロ磐田戦の前半のようにボールは持っているが、自ら仕掛けて決定的な場面を作りだすことはできない。そんな展開になってしまう。

 一つの大きな問題点は、監督は新しくなったものの、選手は昨シーズンまでの(「堅守速攻」時代の)陣容からほとんど変化していないことだ。

 たとえば、昨シーズンから浦和レッズの監督に就任したリカルド・ロドリゲス監督の場合、それまで浦和の主力として活躍していた選手の多くを放出し、就任直後から次々と“新戦力”を導入し続けた(ロドリゲス監督就任から1年半が経過した現在でもさらに“新戦力”の導入を続けており、この夏の移籍でもフェイノールトからブライアン・リンセンを獲得した)。

 これに対して、アルベル監督と契約して新しいスタイルを目指そうとするにも関わらず、FC東京では選手の入れ替えはまったく行われなかった。変化といえば、わずかに高校出のルーキー松木玖生が加わって、アルベル監督のサッカーの中で重要な役割を担っているくらいのものだ。

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