■ヴァイラー監督「悲観すべきではない」

 後半11分にエヴェラウドを下げたことで純粋なストライカーがピッチからいなくなったが、それでも、攻撃に可能性を感じさせたのはこの時間帯だった。レネ・ヴァイラー監督も「残り30分間、ストライカー不在の中で選手たちはよくやっていた。悲観すべきではない」と話したように、終盤には札幌ゴール前に人数をかけることはできた。しかし、ネットを揺らすには足りないものが多かった。

 結局、スコアレスで試合終了。守備陣が耐えて無失点にしたことで得た勝ち点1だった。

 本来、アウェイ・札幌に乗り込んだこの一戦は、鹿島にとって追い風になる可能性があった。というのも、屋根と空調がある札幌ドームは高温の中での試合を回避できるため、前線から強度高くいくヴァイラー監督の求める戦い方にはプラスに作用するからだ。縦に早さを求める指揮官にとって、夏場の日本で札幌ドーム以上の環境はないかもしれない。にもかかわらず、ピッチの上での実際の内容は、かなり厳しいものとなってしまった。

 運動量や強度を求めるがゆえに夏場の戦い方が不安視されていた指揮官にとって、この苦戦は誤算だったかもしれない。むしろ、上田・鈴木の2トップ不在時の前線の機能不全が露呈した試合となってしまった。

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