■会長からの逆オファー

 さて、レッジーナの練習場での取材を終えようとしていたら「会長が会いたがっている」と言われて市内のオフィスに連れて行かれました。普通だったらこちらが「会長のインタビューをしたい」と要求するのですが、順序があべこべです。

「会長」というのは、中村俊輔が在籍していた時代に日本でも有名になったパスクアーレ・フォーティ氏。地元の実業家で、セリエCにいたクラブをセリエAに昇格させたワンマン会長です。

 会長には「誰か、いい日本人選手はいないかね?」と聞かれました。その時は社交辞令かと思っていましたが、後から考えるとジャパン・マネー絡みもあって、当時から日本人選手の移籍を本気で考えていたのでしょう。2002年には中村俊輔がレッジーナに移籍しました。僕がこのクラブを訪れたのは1999年。つまり、中村俊輔移籍の2年も前のことでした。

 なぜか、今でもはっきりと覚えているのは握手したときのフォーティ会長の掌の柔らかさです。

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