ここ数年のJリーグを席巻してきた川崎フロンターレだが、今シーズンに入ってからは様子が変わってきた。だが、リーグ中断明けの試合では、またも違った姿を見せた。「強い川崎」は戻ってきたのか。サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■夏場を乗り切る秘策
さて、話は冒頭の話題に戻る。
つまり、レアンドロ・ダミアンをはじめとする、J1リーグでトップクラスの攻撃陣が試合の終盤に投入されて、敵将ミハイロ・ペトロヴィッチを嘆かせたという話だ。
要するに豊富な選手層を鬼木達監督がうまく使ったということだ。早い時間に失点する苦しい試合だったが、鬼木監督はレアンドロ・ダミアンなどの投入を急がなかった。札幌のDFを完全に消耗させるのを待って、攻撃的な選手を次々と投入したのだ。
先発を誰にするのか、誰をベンチに置くのかということは別として、相手を消耗させてから主役級の攻撃陣を入れて決着させる。これは、これからも使われる戦略だろう。
とくに夏場は、90分間前からプレスをかけ続けるような試合は不可能だ。中断期間が少ない今シーズンの日程を見ても、夏場をどうやって乗り切るかは各チームにとって重要な課題となるが、この北海道コンサドーレ札幌戦のような選手起用をすることができれば、疲労を分散させながら夏場を乗り切ることが可能となる。
先日のIFABで、「5人交代制」が今後とも継続させることが正式に決まった。
もちろん、ペトロヴィッチ監督と同じように「ビッグクラブに有利ではないか」という反対意見は各国で根強くあったが、交代を生かして90分間選手が走り切るサッカーに僕たちはもう慣れてしまった。そして、交代を使って戦術的な変更をする面白さも知ってしまった。