■仙台と「過去のJ1昇格チーム」の違い
主砲の一撃で追いついたが、74分に横浜FCのエースストライカー小川航基に決められてしまう。78分にも失点した。DF陣が集中を欠いたスキを突かれた。
わずか4分間での2失点は、10節の横浜戦とまったく同じ展開だ。20節の千葉戦も、48分と50分の連続失点で試合の流れを手放している。原崎政人監督はこれまで何度も「ゲームコントロール」や「リスク管理」を指摘しているが、J1昇格争いを左右する大一番でもチームの課題が浮き彫りになってしまった。
89分にMFフォギーニョが豪快に蹴り込んだが、スコアが動いたのはそこまでだった。仙台はJ1昇格争いのライバルに敗れ、横浜に2位の座を譲ることとなった。これで3試合勝利なしとなっている。
課題ははっきりしている。守備だ。
昨シーズンのJ2を制したジュビロ磐田は、42試合で42失点だった。2位の京都サンガF.C.は31失点である。20年のJ2で優勝を飾った徳島ヴォルティスは33失点、2位のアビスパ福岡は29失点だ。
仙台は22試合で30失点を喫している。J1昇格を争うチームとしては、明らかに多い。リーグ最多のシュート数を記録しているが、被シュート数もリーグでもっとも多いのだ。シュートを打っているが、打たれてもいる。これもまた、過去のJ1昇格チームとの違いだ。
J1昇格を果たすチームは、ほぼ例外なく1試合1点以下に失点を抑えている。唯一と言ってもいい例外は18年の大分トリニータで、リーグ最多の76得点を記録し、失点は「51」を数えた。負け数は多いが勝ち数も多く、得失点差で2位を確保した。
原崎監督の仙台が目ざしているのは、18年の大分のような勝ちパターンではないだろう。まずは守備の安定をはかるべきで、このままズルズルと後退しないためにも、次節のモンテディオ山形戦は勝点3が欲しい。3位に後退した仙台の後方からは、ファジアーノ岡山が勝点5差で迫っている。