■耐え忍んだ日本
カナリア軍団は6月2日に行われた韓国代表戦では5−1の大勝。移動などで疲れもあったことも影響したか、日本戦はネイマールのPKのみ。それでも勝ち切ってしまうブラジルは凄いとしか言いようがない。だが、日本が最少失点に抑えられたのにはいつくか理由がある。
日本は守備時にボールサイドのウィングが一つ下がり4−4−2のようなフォメーションを組んで守備網を作った。ファウルで止める場面が多かったが、中盤に下がってボールを受けに来るネイマールに対して遠藤航や田中碧などが厳しくプレスにいっていた。
後ろから行っていた場面もあり、点が取れないことからもブラジルの選手が少し苛立っていたのも見て取れた。現にネイマールと田中が小競り合いをするシーンなどもあり、ブラジルの至宝も多少なりとも日本のしつこい守備を嫌がっていたかもしれない。
遠藤も試合後の会見で「個人的にはやれると思ってますし、今日もやれたと思いますし、しつこさは日本人体質だと思います。個人的にもブンデスで1対1ということろはやってきている中で、少しずつ出せたのかなと思います」と話したように日本らしいDFは強豪国相手でも十分通用すると言えるだろう。
そしてCBに入った吉田麻也と板倉滉を中心として中央を堅め耐え忍んだ日本は、カナリア軍団を前半0に抑えることになった。特に90分を通しての板倉のインテンシティの高さは目立ち、シュートブロックで日本を救ったシーンも見受けられた。シャルケのブンデスリーガ1部昇格と2部優勝に貢献し、様々な憶測をされている日本を代表するDFは、この試合で何か一つ違った存在だった。
その板倉が好守で貢献していたのは、隣にいた吉田の存在も大きいだろう。プレミアリーグでもプレーしていた吉田は「僕も(ガブリエウ・)ジェズスとかリシャルリソンとかやってますけど、今日は本来のクオリティでは無いと思う」と話しつつも、ゴール前で「まずはキックフェイントとワンツー。それだけ気をつけながら、コースを限定しながら、ゴールを守ろうとみんなと話していた。今日は守れた方」とコメント。吉田がしてきた経験と持っている守備の高さがこの試合に活かされたと言えるだろう。
日本は我慢、我慢の連続だったブラジル戦。前半45分は耐え忍んだが、結局PKでの1点に泣いてしまった。だが、これがワールドカップ本大会であったら、グループリーグで貴重な勝ち点を逃し敗戦に追い込まれる可能性がある。
試合後の会見で三笘薫は「圧倒的な差を感じた」と話すが、その圧倒的な相手にも勝ち点を取らなければベスト8以上は見えてこない。FIFAランキング1位のブラジルを最少失点に抑えられたが、それ以上に実力差はあった。W杯までの約5か月間でどこまでレベルを上げられるのか期待したい。