■「押し込まれる」のはしかたがないが、自分から「ひきこもるな」
パラグアイ戦では、右ウイングの堂安律もインパクトを記した。最終予選では一度も先発がなく、2度の途中出場に終わった23歳は、伊東純也とは違う攻め筋──タテへの突破ではなくカットイン──を提示した。鎌田大地の2点目につながるクロスがそれだ。
左サイドからの崩しにつながるサイドチェンジも効果的で、リスタートでは左足のキッカーになる。パラグアイ戦ではPKを外してしまったが、パフォーマンスは評価できるものだった。
ブラジル戦は伊東の先発が濃厚だが、序列アップの兆しは見えた。途中出場で流れを変えるインパクトプレーヤーとしての適性を判断する意味でも、堂安に出場機会を与えるべきだろう。
日本がパラグアイを4対1で退けた同じ夜に、ブラジルは韓国を5対1で下した。ケガが報道されたネイマールも先発し、ふたつのPKを決めている。
日本戦は中4日で行なわれる。ソウルから移動してくるブラジルは、メンバーを入れ替えかもしれない。
それでも、ブラジルはブラジルだ。バックアップ格の選手がスタメンに並ぶことがあっても、クオリティが極端に落ちることはない。モチベーションという意味では、サブメンバーのほうが高いとも考えられる。W杯のメンバー入りを争う選手にとっては、日本戦も貴重なアピールの機会だからだ。
日本にとっては「現在地」を計る好機だ。W杯で対戦するドイツやブラジルとはタイプが違うものの、世界のトップ・オブ・トップと対戦できるのだ。
押し込まれるのはしかたがない。だが、自陣に引きこもるのはNGだ。森保監督も「守備をしたあとに、クオリティーの高い攻撃をしなければいけない」と言う。勇気を持って出ていくことで、カタールW杯での勝ち筋が見えてくる。