■アルベル監督には指導者の育成も期待
やはり人事は適材適所。完成したチームを動かし、勝利を重ねることが得意なタイプの名将を連れて来ても、変革を始めたばかりの東京では力を発揮しにくいだろう。しかし、新しいサッカーにチャレンジし、チームに落とし込む事が求められる今、アルベル監督はまさにうってつけなのではないか。
ルヴァンカップのグループステージでの敗退は好ましいものではなく残念ではあるが、リーグ戦では優勝争いに関わらない代わりに残留争いに近づくこともなく上位に近いポジションを堅持しながらチームづくりを進めていて、ある意味“無風”の状態だ。結果に踊らされずに地力を積み上げていく順位をそろりそろりと歩んでいる印象がある。
「アルベル監督のサッカーが将来ずっとイコールFC東京のサッカーになっていくわけではないと思うんですが、しっかりと礎をつくるうえでは彼がベストな監督なのだろうと考えています。彼もよく言うのですが『自分はいついなくなるかわからない』と。ずっといっしょにやれればいいんですけど、彼には彼のキャリアがあります。
でもアルベル監督がいる間に内部からしっかり指導者が育っていくように、というところも意識して彼にお願いしているところでありますし、実際にそういうコミュニケーションをとっています。彼もこの我々のプロジェクトが気に入って来てくれた。いい出会いだったと思います」
■後藤勝 ごとう•まさる■ 中央美術学園イラストレーション科卒。中古輸入レコード店に勤務したのち、出版社と編集プロダクションを経てフリーに。サブカル方面の仕事が多かったがサッカー批評での執筆と編集補助から本格的にサッカー報道に関わり、現在はFC東京、FC岐阜、東京都の社会人を主に取材している。