■ロシアの広大さゆえの困難

 4月1日にワールドカップの組分け抽選会が行われ、日本代表はグループEでドイツやスペインと戦うことが決まった。ワールドカップ優勝経験国が2つという厳しいグループだ(しかも、大昔の優勝ではなく、3大会前の優勝国と2大会前の優勝国!)。

 さて、普段だとワールドカップの試合日程が決まるとじつに楽しい作業が待っている。本大会の、どの試合を観戦しようかという計画作りである(報道関係者用アクレディテーション申請時に観戦希望試合のチケットも申し込まなければならないという事情もある)。

「その日でいちばん面白そうな試合を選べばいい」というものではない。なぜなら、移動の計画も合わせて考えないといけないからだ。

 4年前の大会はロシアという広大な国だったから移動が大変だった。

 たとえば、日本の初戦(コロンビア戦)はモルドヴィア共和国のサランスクという小さな都市で行われた。モスクワからそれほど遠くはないが、夜行列車で行って夜行列車でモスクワに帰るという日程にするしかなかった。

 ロシア鉄道はワールドカップのために無料の夜行寝台列車を走らせてくれたから、できるだけこれを利用したかったし、サランスクという地方都市からでは他都市への連絡の便が悪かったのだ。ロシアというのは、すべてがモスクワに、クレムリンに、そしてプーチンの執務室につながっている中央集権的な国だ。

 こうして、夜行列車を基本として国内線の飛行機も利用しながら、1か月間の観戦と移動の予定を決めていくのだ。

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