■アルベル監督の強がりではない
後半に入ると、運動量で上回った鳥栖のアグレッシブな姿勢が目立つようになり、鳥栖が攻勢を強める。後半開始直後にはFC東京の中村のバックパスがゴールの枠に向かって転がり、慌てて戻ったスウォビィクが足でのコントロールに失敗して手で止めてFKを与えてしまう。だが、ゴール直前での間接FKはゴールには結びつかず、その後も一進一退が続くことになる。
そして、68分にはカウンターから松木玖生がドリブルで運び、後半途中から投入されていたアダイウトンに渡ってFC東京がビッグチャンスをつかんだ。しかし、鳥栖の原田亘と競り合いながら持ち込んだアダイウトンのシュートは惜しくも右のポストに嫌われた。そして、81分に堀米のFKからの決勝ゴールが決まったのである。
どちらも、回数は少ないもののセットプレーや流れの中からのチャンスはあり、1本のシュートが決まるか決まらないかという勝負になったわけだが、内容はほぼ互角で、後半は鳥栖が上回ったという試合だった。
いずれにしても、アルベル監督が言うように「FC東京が上回った試合だった」とはとても言えない試合だった。
だが、アルベル監督がポジティブな評価をするのは単なる強がりばかりではない。
アルベル監督が評価してほしかったのは「この試合が優勢だったか、劣勢だったか」ではなく、内容的にボールを大事にしてボール・ポゼッションを高めるという、監督が目指している方向に少しずつではあるが近づいているところだったのだろう。