■清水が先制点を奪うまでは湘南が優勢だったが…
清水の平岡宏章監督は、試合後「(湘南が)予想していたシステムと違う形で、戸惑いもあった」と湘南の変化がピンチを招くこともあったとしたが「粘り強い守備ができ、そこから自分たちの特徴であるカウンターで点を取れた。最後まで粘り強く戦えた。今までやってきたことが少しずつかもしれないが出てきている」とその中で自分たちらしさを出せたことへの手応えを語っている。
大差がついた結果になったが、清水が先制点を奪うまでは湘南が優勢だった。
山口監督が雰囲気を変えようとしたことは選手たちにもしっかり伝わっていた。湘南の選手たちは自分たちのあるべき姿を取り戻そうという意欲に溢れていた。
たとえば立ち上がり早々、山田直輝は縦に進んでからクロスを上げた畑大雅に対し「早く入れろ!」といつになく強い口調で要求した。あるいは杉岡大暉は、横ではなく縦にどんどんボールを入れてみせた。より積極的かつシンプルなプレーをそうやって求め合い、湘南は主導権を握っていった。
しかし、32分、36分、38分と立て続けに3失点。もがくチームは最初の失点で悪い意味で変わってしまった。選手たちも「そうなってしまうのは戦術的な部分よりもメンタル的なところ」(池田昌生)、「戦術うんぬんではなく気持ちの問題」(山田)、「1点目でチームとしてすごくネガティブな空気が流れてしまった」(杉岡)、と結果を手にできていないことで表れやすくなっている脆さを見せてしまったことを悔いている。
後半には4-3-3で攻勢を強めたものの、前線に上がった大岩一貴が1点を返したのみにとどまり、1-4で敗戦。湘南らしさをチーム全体で示すことはできなかった。