オープン(男女ともに参加)シングルス、オープンダブルス、女子シングルス、女子ダブルスのほか、ジュニア、シニア、障害者などのカテゴリーで発表されている「個人ランキング」も、上位は欧州勢で占められている。ちなみに、現在の「オープンシングルス」ランキング1位は、ドイツのFCシュバインフルト(スイカを思わせるエンブレムをもつクラブ)というバイエルン州リーグのサッカークラブのテーブルサッカー部門に所属する24歳のトーマス・ハースというプレーヤーである。

■人気を支えるグラスルーツ

 しかしこうした競技志向のITSFの活動以上にテーブルサッカーの根強い世界的人気を支えているのは、パブやバー、職場の休憩所、学校など、さまざまな場所に「娯楽」として設置されたテーブルがあり、自由な遊びとしてプレーする環境が用意されているからだ。英国のパブでは、テーブルサッカーを置いていないところなどないに違いない。

 プレーが熱してくると、プレーヤーたちは力いっぱい横棒を動かし、ストッパーを壁にがんがんぶつける。頑丈でなければ、1週間ももたずに使いものにならなくなってしまうだろう。テーブルは頑丈そのもの。しかも何十キロもの重さがある。だからいちど設置すると、数十年間にもわたって、その場で酔っぱらい客や休憩中の労働者たちを楽しませ続けるのである。

 ところで、日本には、いつごろテーブルサッカーがはいったのだろうか。私には、1964年にこのゲームで楽しんだ記憶がある。中学1年生のときである。私が通っていた私立中学校は、場所が横須賀ということもあり、1946年の創立時にアメリカ軍からだいぶ物的な援助を得た。制服も、アメリカ軍お下がりのジャンパーを紺色に染めたのが始まりだったという。その学校の施設に、このゲームがどんと鎮座していたのだ。おそらく、アメリカ兵を楽しませる施設からのお下がりだったのだろう。

 そして日本のテーブルサッカーの普及も、アメリカからの流れであったのではと推察されるのは、前述したとおりである。英国のパブほどの普及度ではなくても、いまではスポーツバーなどでテーブルサッカーを見るのは珍しくない。

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