後半の最初のチャンスのように家長がボールを収めて、そこに内のレーンを使って山根が攻め上がり、インサイドハーフ(蔚山戦では遠野。後半途中から脇坂泰斗)が絡むトライアングルを使った攻撃。昨シーズンの強い時の川崎の攻撃は、多くがこのサイドからのトライアングルによる攻撃だった。それが、この蔚山戦の後半で復活したのだ。
右サイドだけでなく、途中出場した宮城のプレーは三笘のドリブルを髣髴させるものだったし、川崎の多彩な攻撃に蔚山の守備陣は翻弄された。
■Jリーグで川崎を苦しめるもの
Jリーグでは“絶対王者”である川崎への対策が進んでいる。
Jリーグというのはしっかりとスカウティングをして戦術的に対策(とくに相手の良さを消すための対策)を立てるのがうまいチームが多いリーグだ。そして、どのチームも川崎と何度も対戦して、川崎の強さを体感しているのだ。
もちろん、蔚山も川崎とは昨年も対戦しているし、洪明甫(ホン・ミョンボ)監督も映像で分析を進めていたはずだ。しかし、川崎の強さを肌感覚として分かっているわけではなく、対策はJリーグクラブに比べてまだまだ十分ではない。
それだけに、ACLの舞台では川崎は「本来の川崎らしさ」を発揮できるはずなのだ。
蔚山に対して通用した「本来の川崎らしさ」は、当然、広州恒大のセカンドチームにも、ジョホール・ダルルタジム相手にも発揮できるはずだ。
そして、このACLの戦いの場で、本来のボールを持ち続けて相手を圧倒する川崎本来の攻撃サッカーを思いだすことができれば、それをきっかけにJリーグでも川崎らしい試合を展開できるようになるかもしれない。