2022年のACLが開幕した。日本から出場した3チームは、初戦で勝点を獲得したが、この大会出場のために前倒し開催となったJリーグでは、チームづくりに苦しんだ感もある。だが、アジアでの戦いは、チーム立て直しのきっかけになるとサッカージャーナリスト・後藤健生は指摘する。
■初戦で見えた2つの川崎らしさ
蔚山現代(ウルサンヒョンデ)戦は、2つの意味で川崎フロンターレらしい試合だった。
一つは、その粘り強さである。
昨年の夏に三笘薫と田中碧が海外移籍。さらに今シーズンの開幕前には旗手怜央がスコットランドのセルティックに移籍。その前にも中村憲剛が引退し、守田英正も海外に旅立った。こうして、日本代表クラスの実力者が相次いでチームを離れたため、今の川崎は相手を圧倒して「1試合3点」を豪語していた2021年前半のような圧倒的な力は発揮できていない。
事実、Jリーグでは10試合を終えて6勝2分2敗。昨年は38試合を戦って2敗しかしなかった川崎が、10試合終了時点ですでに2敗しているのだ。苦戦は明らかだ。
苦戦の内容も、「ポゼッションで上回っているものの、得点が生まれない」という形ではない。昨年までに比べれば相手にボールを持たれる時間が明らかに長くなっているのだ。
リーグ開幕戦ではFC東京に押し込まれる試合となったが、守備で耐えて81分のレアンドロ・ダミアンのゴールで辛勝。続いて行われた前倒し分の第9節では横浜F・マリノスに完敗(2対4)した。