■産油国の光と影

 こうして産油国の人々は、わずか一世代の間に大金持ちになりました。産油国の国民はデスクワークだけしかしません。それも、仕事は半日くらいですませてしまうのです。

 1997年にサウジアラビアを訪れた時、リヤドの総合スポーツクラブ、アルヒラルやアルナスルを取材に行きましたが、少年チームのコーチなどはほとんどがボランティアだということでした。午前中だけオフィスで働いて、午後はボランティア活動に精を出す……。なんとも優雅な生活です。

 そして、建設業とかゴミの収集、タクシーの運転手とかホテルのハウスキーパー、レストランのウェイター(ウェイトレス)といった職種(今で言う「エッセンシャルワーカー」)は東南アジアやインド亜大陸出身の労働者に任せてしまうのです。カタール・ワールドカップを巡っても、スタジアム建設に従事した大勢の外国人労働者が命を落としたとして批判されています。

 だから、中東と東南アジアやインド亜大陸各国の間には直行便がたくさん飛んでいるので、僕も各国の航空会社を利用しました。

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