2020/21シーズンのブンデスリーガでスターのひとりとなった鎌田は、攻撃の中心として最も期待された選手だったが、10月のサウジアラビア戦まで3試合使っても目立った活躍ができなかった。そしてこの「10月シリーズ」には9月の中国戦でトップ下として出場、攻撃を牽引した久保建英もケガで参加していなかったため、森保監督は欧州への移籍とオリンピック疲れを考慮して9月には招集しなかった田中を抜てき、システムも「4-3-3」に変えたのだ。

 これがはまった。田中が先制点を決めるなど活躍、1-1で迎えた終盤には浅野拓磨のシュートが相手DFに当たり、さらに別のDFのオウンゴールを誘うという幸運も呼び込んでオーストラリアに2-1で勝ちきった。「オレたちは生き残ったぞ!」。試合直後に森保監督がピッチ上に全選手・スタッフを集めて叫んだ大きな勝利。これが今予選の最大のターニングポイントとなった。

■流れを変えた三笘のドリブルと伊東のゴール

 森保監督は「これから毎試合が決勝戦。勝ち続けるしかチャンスはない」と語ったが、その言葉どおり、11月の2試合(1-0ベトナム、1-0オマーン=いずれもアウェー)、年明けの2試合(2-0中国、2-0サウジアラビア=いずれも埼玉スタジアム)と、その言葉どおり「決勝戦」らしく失点0で勝利を積み重ねてきた。

 遠藤、田中と「中盤のトライアングル」を形成した守田が警告の累積で出場停止だった11月のオマーン戦では予選初期に攻撃のリーダー役となっていた柴崎岳を守田のポジションに使ったが、機能しないと見ると、後半の立ち上がりから柴崎に代えて予選初招集の三笘を左ウイングに投入、その三笘の強引なドリブルが試合の流れを変え、最後は三笘の突破とクロスから伊東純也が2試合連続得点を決めて貴重な勝利をつかみ取った。

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