日本代表が戦うワールドカップ最終予選も、いよいよ終わりが近づいている。当然ながら簡単な道のりではなく、最後に山場を迎えるものの、日本は出場権獲得へと前進してきた。ここまでチームを引っ張ってきた森保一監督の手腕を、サッカージャーナリスト・大住良之が考察する。
■疑問だった「こだわり」の選手起用
日本代表は3月24日にシドニーで、そして29日に埼玉スタジアムでワールドカップのアジア第3次予選(最終予選)の最後の2試合を戦う。相手はオーストラリアとベトナム。オーストラリア戦は、勝てば出場決定、引き分けなら大きく前進、そして負ければ6月のプレーオフに回る可能性もあるという、まだまだ予断を許さない状況である。
しかし昨年9月にスタートし、この3月の2試合まで、昨年12月を除き毎月2試合を消化するというこれまでにない集中した日程のなか、さまざまな困難に直面し、非常に危険な状況を乗り越えてここまできた日本代表の努力に、私は大きな称賛を贈りたい。
昨年秋から、私は日本代表のチーム選び、なかでも攻撃陣の構成について、森保一監督を強く批判してきた。大迫勇也、南野拓実といった「フィニッシングタッチ」に欠ける状況にある選手たちを使い続けたことで、攻撃力が極端に落ちていると感じたからだ。彼らの代わりに前田大然、三笘薫、古橋亨梧、田中碧といった好調な選手たちを起用しなければ、どんな相手からでも得点を奪うことは難しく、この予選は厳しい結果に終わりかねないと考えていた。