「怪しげなカネ」に頼ってきたサッカーとスポーツ界を待つ未来(2)簡単に「愛情」と「投資」とは呼べないアブラモビッチのチェルシーへの資金投入の画像
確かにスタジアムで笑顔を見せていたが… 写真:AFP/アフロ

 ロシアのウクライナへの軍事侵攻は、世界中に大きな影響を与えている。そのネガティブな波動は、サッカーやスポーツ界にも及ぶ。今後をも大きく左右し得るが、その痛手は自ら招いたものでもあると、サッカージャーナリスト・後藤健生は説く。

■台頭した「オリガルヒ」

 ロマン・アブラモビッチは1991年12月の旧ソビエト連邦(ソ連)崩壊の後、石油取引でのし上がった大富豪だ。

 計画経済だったソ連時代、同国の基幹産業は国営企業によって独占されてきた。そして、共産党政権が倒れてロシアが資本主義化された直後のどさくさに紛れて(政府要人とのコネを使うなどして)国営企業の資産や利権を手に入れることによって巨額の富を手にしたのがいわゆる「オルガルヒ」であり、アブラモビッチもその1人だった。

 ちなみに、ウクライナでシャフタール・ドネーツクを強豪クラブに育て上げたリナト・アフメドフも同国のエネルギー産業を支配する「オルガルヒ」である。

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