現代では、スポーツとテクノロジーは切り離せなくなっている。スタジアム、あるいは離れた地からの観戦はもちろんのこと、試合の運営、さらにはチームづくりにも不可欠なピースとなりつつある。
サッカーのVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)、ラグビーのTMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)、テニスのチャレンジシステム...。これらの運用を可能としているソニーのグループ会社「ホークアイ・イノベーションズ」の日本及びアジアパシフィック地域における事業展開をリードしている山本太郎氏 に、テクノロジーとスポーツの融合がもたらす可能性について話を聞いた。
■「データ好き」のアメリカ
ホークアイは、スポーツのさまざまな可能性を新たに生み出している。海の向こうで、その動きは顕著だ。
米プロ野球のMLBは、データの活用に積極的だ。
「データをお渡ししていますが、どう調理するかはお任せしています。選手ごとの打球速度を抽出してランキングにしたりしていますが、そうするとMVPに輝いた大谷翔平選手のすごさも、より分かると思います。ダルビッシュ有選手も、データを見て考えることが好きなようですね。アメリカでは一般の人もデータを見ているので、ファンの方がデータについてダルビッシュ選手と対談することもあるようです」(ホーク・アイ・ アジアパシフィック ヴァイスプレジデントの山本太郎氏=以下同)
EPTS(エレクトロニック・パフォーマンス・トラッキング・システム)により得られたデータをCG化し、選手やボールの動きを映像にすることができる。MLBではその技術を活用し、野手の守備のすごさなど個々のプレーをCG映像として提供し、しかもあらゆる角度から見ることが可能な「エンターテインメント作品」としている。