■ピッチ上から試合を観戦!?
同じようなことが、サッカーの世界でも進んでいる。EPTSを使った映像は、イングランドのプレミアリーグのテレビ放送でも使用された。 今後は、試合をCG化したフルマッチの観戦も可能となるだろう。
さらに驚くべきは、この映像がスタジアムで観戦する以上のものを提供し得るということだ。CGならば、あらゆる場所、角度から試合を見ることが可能で、自分がピッチに立った視点での観戦も可能となる。
「CGならば、GK目線で見たいという人に、GKの視点からの映像を用意できます。もしかしたら、“ずっとセンターサークルの中に座って見ていたい”という方がいるかもしれないし、“審判をしているので、審判の動きをずっと追いたい”という要望に応じることも可能です」
VR(バーチャル・リアリティ)を利用すれば、中村俊輔といった名手のFKをGKとして体感することもできるだろう。野球ならば、大谷翔平のストレートを打席で目にすることもできる。
こうしたエンターテインメント面の道も探られている。ソニーグループ株式会社は昨年11月、マンチェスター・シティとオフィシャル・バーチャル・ファンエンゲージメント・パートナーシップ契約を締結した。
これは、ホークアイの提供するEPTSのほか、ソニーのさまざまな技術を利用して、新たなサッカーの楽しみ方を模索するものだ。例えば、仮想空間でシティの本拠地であるエティハド・スタジアムを再現すれば、離れた場所に暮らすファンも、簡単にスタジアムにアクセスできる。ファン同士の交流も可能だ。もはや、「海の向こう」であることを気にする必要がなくなってくるのだ。