■「小石を探しに行くな」
そうした声が出るのも自然なことだと、山本氏は考える。
「弊社はテクノロジーの会社ですので、いろいろな場面でそういうことを体験してきました。CDが出てきた時には、レコードが最高だ、と言う人がいました。デジタル書籍を出した時には、本の匂いがしないといった声が出ましたが、どちらも使われ続けていますよね。トランジション(移行)の時期には、必ずそういうことがあるんじゃないでしょうか」
また、日本でうまく導入が進んだ背景には、テクノロジーの活かし方のヒントがある。
「テクノロジーがあると使いたくなってしまうもので、いろいろなリーグでやり過ぎていたのかもしれませんが、Jリーグはスタンダードをすごくよく理解されていると思います。FIFAは“小石を探しに行くな”というスローガンを掲げています。要は、翌日の新聞の見出しになるような誤審を防げばいいんだというスタンスですね。Jリーグはそれをちゃんとフォローして、やり過ぎていない、というのが良いのだと思います。我々は、FIFAが決めているルールに合ったテクノロジーというサービスを、プロバイダーとして提供します」
人間が使いこなしてこその技術、というわけだ。