■技術導入時の拒否反応
ホークアイの素となったのは、ロケットの弾道研究だった。ホークアイ創業者のポール・ホーキンス博士がイギリス人だったため、その技術を「国技」とも言えるクリケットに応用。投げられるボールの軌道を追い、試合のテレビ放送で画像として見せるサービスを始めた。テニスやサッカーといった他競技へとフィールドを広げる中、世界的企業のソニーがホークアイを2011年にグループに迎えた。
2012年12月には、日本で行われたクラブ・ワールドカップにおいて、FIFAがゴールラインテクノロジーを試験的に導入している。2018年にロシアで開かれたワールドカップでは、VARが初採用され、ホークアイがサービスを提供。 VARはヨーロッパ各国のリーグで導入されているほか、Jリーグでも2020年に使用が開始されている 。
ただし、伝統ある競技が未知の技術を迎えるにあたり、拒否反応も小さくなかった。山本氏は、「それほど叩かれることがなかったのは、日本くらいのものだと思います」と苦笑する。
「イタリアのセリエAにしろ、イングランドのプレミアリーグ、ドイツのブンデスリーガにしろ、導入した瞬間から、“ビデオで見たのにこれかよ”という声だとか、“サッカーは流れがあるスポーツだから、ここまで見なくてもいい。あいまいさも活かされるべきだ”という議論がありました」