■「J1の一瞬のプレーに対するこだわり」

 40分、磐田の杉本健勇が抜け出すと、ゴールキーパーの上福元直人がエリア外で倒してファウル。こちらからはプレー方向がゴールから離れていくような状況だったためDOGSOの要件を満たさないように見え、井上知大主審もおそらくはSPAという判断でイエローカードを提示したが、ここでVARが介入。

 長時間のオンフィールドレビューを経て、おそらく、杉本が外へ向かったのはゴールキーパーをかわそうとした動きでありディフェンダーのカバーも間に合わない、と判断されてDOGSOが成立し、上福元にレッドカードが提示された。

 ただし、VARの有無というJ1とJ2の違いがある、というわけではない。

 京都のチョウ・キジェ監督は試合後のコメントの中でこのプレーについて「(上福元は)狙いを持ってプレーをしたというのが事実であって、判断の問題ではない」とし、「あのようなケースもあり得るということを経験したことは、自分たちが次に進める一歩」とチーム全体の今後のJ1の戦いへの良い勉強材料であることを重視した。

京都の寄せに対して負けなかった遠藤保仁 京都サンガF.C.vsジュビロ磐田(20220305)撮影/原壮史

 狙い通りのプレーを見せたにもかかわらず結果がついてくるかどうかが違ってくる、というのがJ1とJ2での大きな違いであり、越えなければならない山だということだ。

 このプレーはあくまでも、そのことをわかりやすく伝える形になったものだった。指揮官はチーム全体に対し「J1の一瞬のプレーに対するこだわり」を強めていきたいと前を向いた。

 京都のスローガンは“S Adventure”。今回、狙い通りだったにもかかわらず結果が違ったのがJ1でのプレー経験のある上福元であったように、J1という山はとても高く常に険しいものだが、曹監督は「プレスが10回あって全て確実に奪えているようでは、J1に来た意味がない」という表現で困難を歓迎している。

PHOTO GALLERY 京都サンガF.C.vsジュビロ磐田 20220305
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