■東京Vが魅せたスピード感
連勝スタートを切ったのは横浜FCのみだが、1勝1分のチームは6つを数える。ファジアーノ岡山、東京ヴェルディ、レノファ山口FC、ベガルタ仙台、ザスパクサツ群馬、それにFC町田ゼルビアだ。
ホームで強さを見せつけたのは東京Vだ。栃木SCを3対0で退けたのである。
東京Vと言えば、「華麗なパスワーク」が連想される。彼らのスタイルを表現する常套句だが、栃木戦ではパスワークを発揮する前提として攻守の切り替えが早かった。
24分の2点目が分かりやすい。センターサークルから攻撃がスタートすると、ペナルティエリア内とその周囲に6人の選手が入り込んでいった。右SBの山越康平までが、相手ゴール前へ飛び出した。ゴール前にこぼれたボールを梶川諒太が蹴り込んで2点目が生まれたが、ボールの行き先が違っても東京Vの選手がシュートへ持ち込んでいただろう。
ここぞ、という場面での思い切った飛び出しは、その後も栃木を苦しめた。迷いのないスプリントが繰り返され、決定機が生み出されていった。「決断をしてゴールに向かってくれたのが良かった」とは堀孝史監督だが、クラブが大切にしているパスワークだけでなくスピード感と迫力のある攻撃は魅力的だ。テクニックに寄り掛かることがなく、「前へ」の意識がチームを貫いている。
ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督のもとでJ1昇格プレーオフに進出した18年以来の上位進出へ、上昇気流へ乗っていくことができるか。次節は徳島ヴォルティスのホームに乗り込む。