■これから徹底されていく決まりごと
昨シーズンも、とくに三笘や田中がいなくなった秋以降、川崎が苦戦した試合はいくつもあった。だが、それは「川崎が攻めていてもなかなか点が入らない」という展開だったり、相手のカウンターが決まって失点してしまった……。そんな試合がほとんどだった。
だが、開幕戦でのFC東京は内容的にも川崎と互角以上に戦ってチャンスを作り続けたのだ。それでも、守り切ってセットプレーからゴールをもぎ取って勝点3を確保したあたりはさすがに川崎だが、FC東京の善戦は特筆される。
FC東京はマッシモ・フィッカデンティ監督が組織的な守備戦術を徹底させたが、その後交代した長谷川健太監督は選手たちに自由を与え、それぞれの力を最大限に発揮させることで攻撃力を向上させた。しかし、長谷川監督の下でのプレーが長くなったことで戦術的な規律は緩くなってきていた。
そんな時期に、アルベル・プッチ監督が就任したことで、これから再び戦術的な決まりごとが徹底されるようになっていくのだろう。
川崎戦で効果を発揮した右サイドでのレアンドロと松木玖生の関係性……。松木がタッチライン沿いのスペースを使ったり、インサイドのポジションからレアンドロとディエゴ・オリヴェイラの間のレーンを使ったりといった戦術的な動きはいかにもスペイン人監督らしいところだった。
これから、新型コロナウイルスのPCR検査で陽性となっていた選手たちが戻り、そしてアルベル・プッチ監督の新しい戦い方に選手全員が慣れてきたら、FC東京は強化されていくことだろう。FC東京に注目していきたい。