■「選手としての成功」とは何か
ポステコグルー監督は、「安く買って高く売る」ために日本人選手を獲得しているのではなく、彼が志向する攻撃的サッカーに日本人選手が適合しているから、４人もの選手をとったのだろう。しかし「プロサッカークラブの経済学」から言えば、半年か１年使って獲得額の数倍で売却できるなら手放すのが当然だ。欧州チャンピオンズカップ（現在のＵＥＦＡチャンピオンズリーグ）優勝の歴史をもち、スコットランドきっての名門セルティックと言っても、経営規模ではプレミアリーグ下位のクラブにも及ばないのが現状だからだ。
だが私は、ただリーグやクラブのヒエラルキー、あるいはより高い年俸を得るために「ステップアップ」することが「プレーヤーとしての成功」とは思わない。サッカー選手として何より大事なのは、監督やチームメート、そしてファン・サポーターに信頼されて、常に試合に出場し、１試合でも多くチームを勝利に導き、１つでも多くのタイトルを獲得することのはずだ。そのためには、しっかりとした自分の「居場所」のあるクラブに定着し、できれば５年、１０年と、継続してプレーすることが必要だと思っている。
