■パリ五輪世代の櫻川は覚醒するか?
昨シーズン4位のV・ファーレン長崎は、ブラジル人トリオが話題の中心だ。ボランチのカイオ・セザールと昨シーズン15発のエジガル・ジュニオ、それに新加入のクリスティアーノである。彼ら3人の影響力は大きいが、若き日本人ストライカーもチーム浮沈のカギを握る。
20歳の植中朝日だ。
2001年11月生まれの“久保建英世代”のひとりは、昨年9月のモンテディオ山形戦で鮮烈なインパクトを記した。シーズン2度目の先発でプロ初得点を記録すると、そのままハットトリックを達成したのだ。32節からは出場した5試合で連続得点を記録し、最終的に19試合出場で10ゴールの大台に乗せたのだった。
179センチ、72キロの植中は、DFと駆け引きをしながらラストパスを引き出し、思い切り良くフィニッシュへつなげる。シュートへ持ち込むまでに迷いがなく、冷静さも併せ持つ。2トップを組むエジガル・ジュニオとの連携もスムーズだ。
植中のような伸び盛りのタレントは、J1各クラブはもちろん海外からも関心を寄せられるものだ。たとえば、今夏の移籍市場でFWが海外へ移籍したJ1のクラブが、シーズン途中の補強として興味を示すということも起こりうるだろう。もちろん、開幕からコンスタントに得点を重ねていることが前提で、長崎に必要な戦力であることも間違いない。そのうえで言えば、20歳のパリ五輪世代の将来性は、どのクラブにとっても魅力的だ。
同じく2001年生まれのパリ五輪世代では、櫻川ソロモンにも覚醒の予感が漂う。
プロ2年目の昨シーズンは、25節から18試合連続でスタメン起用された。3-4-2-1の1トップを任され、30節から13戦負けなしでフィニッシュしたチームを最前線から支えた。
ユン・ジョンファン体制3年目となる今シーズンも、1トップの有力な候補となっている。2月11日開催の『ちばぎんカップ』では、柏レイソルのブラジル人CBエメルソン・サントスとマッチアップし、しっかりとボールを収めた。
ポストプレーヤーとしての役割は、J2のゲームでも果たせるに違いない。あとは、ストライカーとしての結果だ。昨シーズンは30試合出場で4得点にとどまり、チームも1試合1点強の48得点に終わっている。千葉がJ1昇格争いに絡んでいくためにも、190センチの大型FWには2ケタ得点が望まれる。その先には、個人的な飛躍もあるはずだ。