サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。重箱の隅をつつくような、大住良之の「超マニアックコラム」。今回は、科学で解明することはできないが、それだけに魅力的でもある「ミステリー」の話。
■解明できない不思議な現象
私は科学と合理性を信じる人間であり、超自然現象や超常現象というものにはあまり関心がない。もちろん、現時点での人類の科学が完全にすべての自然現象を解明したなどとは思っていないし、まだまだ人智の及ばないことがたくさんあることはわかっているが…。
だが、サッカーの世界にも、現代の科学では解明できない不思議な現象がある。この記事の材料は、『東京新聞』の2月9日付け夕刊に掲載するコラムのために集めたものが中心になっている。しかし集めた情報があまりに興味深く、短い新聞記事にはそのほんの一部しか使うことができなかった。埋もれさせてしまうのは惜しいので、今回の記事を書くことにしたことをお断りしておく。
サッカーにおける科学では解明できない不思議な現象。そのひとつが、「埼玉スタジアムの北側ゴールの怪」である。日本代表の熱心なファンなら、誰でも知っていることかもしれない。テレビ放映のメイン画面で見ると左側のゴール、Jリーグだと浦和レッズのサポーターが陣取るゴール裏スタンドを背景にしたゴールに、日本代表の重要でしかも劇的なゴールのいくつもが決まっているのだ。それはまるで、埼スタの北側ゴールに「呪術」でもかかっているのではないかと考える以外にないほど、不可思議な現象なのだ。