試合前は「中国選手のラフプレーで負傷者が出たら困る」と心配していたが、今回の中国代表はラフプレーすらなく、あっさりと敗れ去った。

 そんな強度の低い試合では、日本がいくら快勝しても興奮は生まれない。観客が「せめて久保の活躍くらい見たい」と思っても不思議ではない。

■中国戦とサウジ戦は「別次元」

 試合後の記者会見で、森保一監督はこんな発言をした。

「次のサウジアラビア戦はインテンシティーやテンションが高くなる。別次元の戦いとなる」と。

 中国戦とは「別次元」だと言うのだ。聞きようによっては中国代表に対して甚だ無礼な発言だ。だが、それは真実だった。

 5日後のサウジアラビア戦。日本の守備が安定し、またボールを奪ってから素早く相手守備陣の裏を突くという意識が徹底され、伊東純也の1ゴール1アシストという活躍もあって日本は再び完勝した。しかし、サウジアラビアはサイドバックのヤシル・アルシャハラニとサイドハーフのサレム・アルドサリが組んだ左サイドが強力で、日本の右サイド伊東と酒井宏樹のコンビとの息詰まる攻防はハイレベル。「一つでもミスをしたらやられてしまう」という緊張感があった。

 森保監督の言ったように、それは中国戦とは「別次元」の戦いだったし、同じ2対0のスコアでの快勝とは言っても、見るものに興奮を覚えさせるものだった。

 中国との試合は、サウジアラビア戦を控えた日本代表にとってはまるで練習試合のようなものだったようだ。

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