【アジア・サッカー考察】サウジアラビア代表戦快勝の呼び水となった「練習試合」中国代表戦の問題点【ワールドカップ予選改善の必要性】(1)の画像
余裕で勝利を収めた中国戦だったが、どれほどの意味があったのか 撮影:原壮史

 日本代表は、今年11月に開幕するカタール・ワールドカップ出場に向かって前進している。2月2日のサウジアラビア代表戦にも勝利して自動出場圏内の2位につけているが、問題もある。ワールドカップでいかに戦うか、だ。
 もちろん上位進出は日本代表次第だが、力を高めるには日々の切磋琢磨が欠かせない。アジア全体で取り組むべき課題を、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■久保登場で起きた拍手の意味

 ワールドカップ・アジア最終予選の中国戦(1月27日)の後半、ベンチにいた久保建英が交代の準備を終えようとしている姿が大型映像装置に映し出された瞬間、スタンドから大きな拍手が巻き起こった。

「久保人気」の高さを感じさせた場面だったが、同時に観客が試合内容に満足していなかったからではないかとも思った。「せめて久保の活躍でも見せてもらわなくちゃ」というわけである。

 試合は、90分間にわたって日本が完全にコントロール。中国の攻撃を完封して複数得点を記録して日本が完勝した。

 だが、試合が面白かったかといえばまったくの「ノー」だ。

 日本の出来は悪くはなかった。だが、一方的な内容になったのは中国が悪すぎたからだ。中国は、ほとんど抵抗らしい抵抗をすることなく敗れ去った。

 9月8日にドーハで行われた第1戦(中国の“ホーム”ゲーム)で李鉄監督の中国は完全に自陣に引きこもって守ってきた。“弱者”にとってはロースコアゲームにすることがアップセットを起こす条件の一つだから、こういう選択もありうるだろう。

 だが、埼玉スタジアムに乗り込んできた李霄鵬監督の中国は、とくに引いて守りを固めるわけではなく(結果として、日本のパスがきれいに回ったから押し込まれてしまったが)、特別な攻撃の型があったわけでもない。普通に戦って、実力通りに敗れてしまった。そんな試合だった。

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