■谷口と板倉のパフォーマンスは好材料
今回の連戦に臨むにあたって、日本はいくつかの懸念材料を抱えていた。そのひとつがCB吉田麻也、冨安健洋の不在だ。精神的支柱でもあるキャプテンと、安定感抜群でビルドアップにも長けるアーセナル所属の23歳が同時に欠場するのは、最終予選で初めてのことだった。
谷口彰悟、板倉滉、植田直通、中谷進之介の4人が選択肢となったなかで、森保一監督は谷口を左CBに、板倉を右CBで起用した。谷口は昨年6月のセルビア戦以来の、板倉は同5月のミャンマー戦以来の出場で、最終予選のピッチに立つのは初めてだった。
彼らふたりのコンビネーションはもちろん、GK権田修一や同サイドのSBとの連携も問われたが、不安を感じさせる場面はなかった。前半13分に大迫勇也のPKで先制し、その後もボールを握り続ける展開が多く、両CBの対応を見極める場面は率直に少なかった。
カウンターを受けるシチュエーションがもう少しあれば、サウジアラビア戦に生かせる具体的な改善点を洗い出せたかもしれない。だが、こればかりは結果論だ。中国のシュートをわずか2本に抑え、クリーンシートを記録したことで、ほかでもない彼ら自身が自信を得ることができたのは大きい。また、彼らふたりを交えたコンビネーションを、実戦で確認できたことは前向きにとらえられる。相手の1トップやトップ下にボールが入った局面では、厳しく対応することができていた。
ビルドアップはスムーズだった。プレッシャーを受けても慌てることがなく、ワンタッチでさばくことも自ら持ち出すこともできる。自分たちがポゼッションをしている局面では、物足りなさを感じさせていない。