かつては世界の頂点に立った。その後、なでしこジャパンは五輪出場権を逃す悔しさを味わい、地元五輪を終えた後、再び新たなスタートを切った。現在、ワールドカップ出場権とアジアの頂点を目指してインドで戦う日本女子代表をサッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■新監督の下で見えたプレーの変化
池田太監督が就任してから、「ボールを奪う」、「ゴールを奪う」というフレーズがよく使われるようになった。
「ボールを奪う」という面では、高い位置からボールを奪いに行く守備意識は確かに高まっている。ボールホルダーに対して襲い掛かるような守備が見られるようになった。
そして、ボールを奪ってからは早く相手ゴール前にボールを入れる意識が強くなっている。アーリークロスが入るようになったし、大きなサイドチェンジの意識も高い。そして、最終ラインやボランチからの早めのくさびのパスが相手の守備をはがすのに有効だった。
前任者の高倉麻子監督はテクニックを重視し、パスを回して奇麗に崩す意識の方が高かった。
それは、日本のサッカーのストロングポイントであるし、2011年のワールドカップ優勝で世界を驚かせたなでしこジャパンのサッカーの特徴でもあった。
だが、ヨーロッパ勢が台頭している現在、そうしたパス・サッカーだけでは通用しないのも事実だ。高い位置でボールを奪って、素早くトップに付ける。そうしたパターンを身につけていかなければいけないのである。そこで、もっと速い攻めを加えようというのが、新しい方向性ということになる。