■まさかの中国代表との対戦
指導教授は池井優という人で、日本外交史が専門なのですが、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、野球とくにアメリカMLBの専門家で野球の本を何冊も書いています。で、ゼミでは野球やソフトボールが“必修”でした。
そこで、旅行会社を通じて「中国の学生たちとソフトボールの試合をしたい」と申し込んであったのです。
さて、日本からの飛行機が上海の空港に到着してみると、旅行会社のガイドや通訳が迎えに来ていました。当時の中国では、外国人の個人旅行は許されていませんでした。必ず、中国の国営旅行社を通じて手配しなければいけません。ガイドは見張りも兼ねています。
空港に迎えに来ていた人たちの中には体育総会の代表も2人いたのです。
「どうして体育総会の人がいるんだろう?」と不思議に思っていたのですが、ソフトボールの会場に着いて理由が分かりました。中国側にはなんと「慶応義塾大学体育会塁球部が訪中する」と伝わっていたのです(中国ではベースボールは「棒球」、ソフトボールは「塁球」)。僕たちの対戦相手は中国塁球女子国家隊つまりナショナル・チームで、試合はラジオで実況中継されるというのです。