■思い起こされる父の言葉

 他にも現在に活きる財産が、藤川さんにはある。いまは亡き父、孝幸さんの存在だ。

「板倉と一緒に仙台に行った時にも、ベガルタでのコーチ時代に親父が仲良くしていただいた方から、ご連絡をいただきました。人徳なんでしょうね、親父も誰に対しても態度が変わらない人でした。世界中にたくさんの知り合いがいて、いろいろな人に好かれていたんだろうなと思います」

 思い起こされるのは、父の言葉だ。

「親父からはずっと、『結果がすべてだぞ』と言われ続けていました。今でも変わらず、その言葉をずっと意識しています。『どれだけうまくいっている時でも、足元を見ろよ』とも言われました。プロとして生きてきた人の言葉だから、説得力がありますよね。街を歩けないくらいに、板倉滉を有名にさせる。それが、僕が求める結果です」

 立つ場所はピッチから変わったが、子どもの頃からの仲間と、自分を育て上げてくれた父と、二人三脚でのプロの世界での歩みが続く。

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