■GKだけで15人の大所帯へ

 一方で、藤川さんは高校サッカーを選択する。中学3年生の時に見た、インターハイ優勝を成し遂げた桐蔭学園高校のサッカーに惹かれたのだ。桐蔭学園も、多くの選手をプロの世界に送り出してきた名門校だ。藤川さんも、プロになるという夢を温め続けて、桐蔭学園の門を叩いた。

「僕たちの代は、レベルが高かったと思います。1学年上の先輩たちまでは、1学年20人くらいの少数精鋭制でやっていたのですが、僕らの代から1学年60人くらいの選手を取るようになりました。僕が3年生の時には全体で170人くらいいて、GKも15人くらいいました。確か5軍くらいまであったんじゃないですかね」

 その大所帯の名門チームで、藤川さんは最下層からスタートを切った。徐々に這い上がっていくのだが、思わぬタイミングで、板倉には中学時代に訪れた挫折が、藤川さんに襲いかかってきた。

(3)へ続く
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