しかし、スタジアムの外の風景が見えるというのは、試合に集中できないという弊害が大きい。また、旧国立競技場のメインスタンド側からはバックスタンドのゲート越しに聖徳記念絵画館側の道路を走る自動車などが見えてしまった。

 その点で、新国立競技場は全面を同じ高さの急傾斜のスタンドが取り囲んでおり、また、スタンド全面を大屋根が覆っているので、スタジアムの外の風景はいっさい見ることができず、そのため集中が保てるという効果がある。

■見通しの立たない活用法

 以上のように、サッカーやラグビーを見るためにも新国立競技場は(横浜国際総合競技場などと比較すれば)非常に良いスタジアムだということができる。また、東京オリンピックの陸上競技でかなりの好記録が出たことを考えれば、おそらく陸上競技場としても良いスタジアムなのだということができるだろう。

 しかし、1500億円以上の巨費を投じて建設された、この素晴らしいスタジアムがこれからどのように活用されていくのかについては、まったく見通しが立っていないのが実情なのだ。

(4)へ続く
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