サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。重箱の隅をつつくような、「超マニアックコラム」。今回は、「試合後のひと仕事」。90分間を過ぎても続く場外での「延長戦」の意義を、サッカージャーナリスト・大住良之が考える。
■Zoomは確かに便利だが…
2020年の夏以来、Jリーグの試合後の記者会見はすべて「Zoom」での開催となった。
「Zoom」が何か知らない人は少ないと思うが、一応説明しておくと、アメリカの「Zoomビデオコミュニケーションズ」という会社が提供しているWeb会議サービスである。会議参加者は、自分のパソコンのカメラとマイク、スピーカーを使い、インターネットを通じて会議に参加する。こうしたサービスはいくつもあるが、なかでもZoomは2020年の新型コロナウイルスのパンデミックで「使いやすい」と評判になり、爆発的に世界に広まった。
ちなみに、このサイトで2020年の7月に第1回が行われた後藤健生さんと私の「激論」も、最初の1回だけは深夜に東京・新宿区にある双葉社本社の会議室で行われ、終了後はそれぞれタクシーで帰宅したが、以後はすべてZoomでの開催である。こうした「無理を承知」の企画では、終了して30分後には風呂を出てベッドにはいっていられるZoomはとてもありがたい。
さて、2月に第1節を開催した後、結局4カ月間もの中断を余儀なくされた2020年のJリーグ。試合を再開するにあたって、チームとメディアの接触を避けるため、同じスタジアム内にいながら、監督はどこかの部屋でパソコンとビデオカメラに向き合い、記者たちはスタンドの記者席でパソコンを使って質疑応答を行うという形となった。何とも味気ないが、試合後に監督と話す機会がまったくなくなるより、はるかにいい。